ぎっくり腰予防のポイントは呼吸

個人的には別に腰痛持ちではないと思うのですが、朝から晩までデスクワークが長期間続くとさすがに「やばくなる手前かも」と思うことはあります。10年くらい前には坐骨神経痛に悩まされたこともありましたが、今はいろいろ気をつけているせいか再発することはありません。

最近知人やお客さんの中でぎっくり腰を訴えるケースがいくつかあり、ふと私が昔経験したぎっくり腰のことを思い出しました。それもお恥ずかしいことに整体の学校の授業中(何のために整体の学校へ行ってるの?と言われそうですよね)のことだったのです。

あれは2005年の3月か4月のことだったと思います。上級整体師の資格を取得した後も、まだ日本医療整体学院(http://www.nisg.jp/)で実技授業を受けつつ施術経験を積んでいました。「施術経験」というのは、学院外から協力者を募り60分の施術後を受けていただいた後アンケート記入をお願いする、というアンケート施術のことなんですけど。その時はたまたま学院直営の整体院でもインターンで入ることもあり、施術がすごく立て込んだ時期でもありました。

たぶん腰に負担がかなりかかっていたんでしょうね。数日間何となく腰のあたりが変、と違和感を感じではいたのですが、ケアする暇もなくそのまま毎日施術を続けていたんです。それでも今日はさすがにおかしい、と思った時にたまたま卒業生の方に施術していただく機会があり、「腰が辛くて...」と言ったら腰周りを集中的に施術してくださいました。

これが良くなかった...施術後立ち上がれなくなったんです。起き上がれないし、身体の向きを変えることすら困難。「これって"ぎっくり腰"かも」と気付き、施術受けるんじゃなかった、と後悔しても後の祭り。タクシーで日暮里から世田谷の自宅まで帰りました。

翌日、身体をだましだまし使って何とか近所の整形外科(たぶん200mくらいの距離)へ。レントゲンでは特に異常は見当たらず、先生は「あなたの場合、腰椎の4番目と5番目の間が右の方で狭くなっているのが原因なんじゃないの?」とあまり親切でない説明を受け、とりあえず鎮痛薬と湿布を出してもらい、さらにコルセット買って帰りました。

2日くらいは安静にしていましたが、急性期の痛みがおさまったら動いた方がいい、と聞いていたので無理のないように身体を動かすようにし、1週間経過した頃にはかなり落ち着き2週間後には実技授業に復帰したように記憶しています。

休養している間はぎっくり腰のことをネットで調べ、何がいけなかったのかいろいろ考えてみました。「ぎっくり腰はクセになる」なんてこともよく言われますし。そもそも整体師がぎっくり腰なんて、恥ずかしいじゃないですか? お医者さんが言っていた4番目だか何番目だかの椎間板の話を聞いても本当にそのあたりの椎間関節がねん挫したとか、どの靭帯が損傷を受けたのとかははっきり教えてもらったわけではないですし(その部位を特定できる検査ってあるんでしょうか???)、今後同じことを繰り返さないためにはどうしたらいいか、なんてことももちろん一切フォローはなし。自分で考えるしかなかったわけです。

いろいろ調べて自分で考えた結果、次の予防策に辿りつきました。

予防策
1: 力を入れる時は体重移動と呼気がポイント
2: 重いものを持ち上げる時は脚の筋肉を使う
3: 基本的に長時間座りっぱなしとか立ちっ放しはしない。気付いた時には軽いストレッチ
(4: 腰の筋肉だけでなく大腿部の筋肉を衰えさせないようにする←ここ2年くらいの間に追加)

1の呼気、つまり呼吸についてはぎっくり腰事件の前にこんなことがありました。施術アンケートに協力してくださった方の中にヨガをなさっている方がいて、アンケートの時に「どのタイミングで息を吐いたらいいかわかりませんでした。ちゃんと呼吸してください」と言われたんです。確かに無意識のうちに呼吸を止めてしまうことが多かったと思います。いつかお話しますが、そう言われたこととぎっくり腰が社団法人調和道協会の丹田呼吸法(http://www8.ocn.ne.jp/~kokyuhou)を始めるきっかけになったのですが... 

いずれにしても動作に合わせて呼吸をすることは大切です丹田呼吸法を始めてから力をかける時には必ず鼻からの呼気を心掛けています。力を入れる時に息を止める(調和道ではそれを「怒責」)のはすごく危険。胸腔内圧が高まり脳圧も上昇します。それに気道を閉じているのでその間は外の空気を身体の中に取り込めないというのも良くありません。負担がかかっている腰の筋肉が酸素不足になりやすいわけですね。

2の「脚の筋肉を使う」というのは常識ですが、何も考えていないとついつい腰だけで重いものを持ち上げて「しまった!」と"魔女の一撃(ドイツ語、Hexenschuss)"に遭うものです。

3の前半はかつての坐骨神経痛経験とも関係があります。朝デスクについたら夕方帰るまでずっと座りっぱなしというのがしょっちゅうあったので、そのせいでしばらく右脚がいつもビリビリしびれを感じていたんです。

ストレッチについては腰だけでなく脚の裏側も重要。腰痛に効く経穴は足の太陽膀胱経にたーくさんあります。ストレッチで刺激してあげるのは効果あります。

4は2とも関連するわけですが、私が実践したのはスクワット。特に2007年の夏の激やせからの教訓でもありました。スクワットは大腰筋と大腿筋の両方を鍛えるのでちょうどいい。32kg時代に20kg前後の娘を背負ってやっていたこともありました(今では26kgになり身長も伸びたので私が35kgになったとはいえちょっとやりづらい)。

1~4の中で一番重要なのは1と2。人間は誰でも利き手や利き足があるので、左右対称にバランス良く身体を使うのはほとんど不可能です。絶対効率良く身体を使うクセを身につけてしまうので、腰筋でも左右で筋肉量に違いは出てくるし負担も左右で違う。それでも力を入れるという筋肉に負担がかかる動作で筋肉に負荷をかけ過ぎて靭帯など痛めないためには、やはりうまく力をかけたり入れたりする方法を身につけることが大きなポイントでしょう。

もともと私は身体が小さいので、身長195cm体重100kg以上の男性の施術をする(今では男性の施術は一切やっていませんが)ような場面では、その方法を身につけているかどうかがとても重要でした。4年半くらい前にはまだ39kgくらいはありましたが、それでも自分の体重をうまく使うことが大柄な男性の施術をするコツであったことは変わりません(もっとも被施術者の体格にかかわらず整体施術を身につける重要なポイントです)。さらに重いものを持ち上げる時は腿の筋肉を使うこと。それでも持ち上げられなかったら無理をせずに他の方法を考える。

その2つのポイントに加えて呼吸を合わせることも意識すれば完璧です。意識を呼吸に向けることにもなるので自ずと動作そのものにも集中できます。ぎっくり腰って注意を払って身体に気を配っている時には起こらないですよね。

そうそう、ぎっくり腰からもう一つ個人的な教訓がありました。「ぎっくり腰をやったばかりの人、なりそうな人には整体施術をしないこと」。ぎっくり腰になった人が駆け込みでどこかの整体かカイロプラクティックか何だかを受けて良くなった、という話も聞くことはありますが、個人的には非常にリスクが高いと思っています。腰椎のねん挫は足首のねん挫と症状は違うかもしれませんが、起こった問題は同じじゃないですか? ねん挫した人の足首を施術したら炎症がますますひどくなりますよね。私も「ぎっくり腰をやったみたいなんですけど」と電話を受けることはよくありますが、「まず整形外科へ行って骨に問題がないか確認なさってください。痛みが落ち着いてから今後の予防のために整体をお受けになったらいかがですか?」とお薦めしています。

ぎっくり腰になりかかっている私に腰の施術をした卒業生は早くから学院直営の整体院で経験を積み、実力があり将来有望と周りから評価されていた人でした。それでも冷静に施術前の問診、望診、触診をせずにいきなり施術に入ってしまったのは後輩や周りで見ている学院関係者に「良いとこ見せたい」気持ちがあったんでしょうね。被施術者本位の施術をすることは整体師の基本的なミッションステートメントの一つであるはずです。これが生徒の私でなく本当のお客さんだったら大変なことになったんじゃないかしら、と今でも思い出す事件でした。

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